サカサクラゲ
浅子君2000.11.20提供のこの話はおもしろすぎるので、掲示板から特にこっちに転載
します。最後におまけもついてます。
この前、何で生物の名前をカタカナで書くのか?という話がありましたが・・・。生物
関係にのめり込んでいる私、世間の常識を知らずにとんでもない騒ぎを引き起こしたこ
とがあります。
現在の職場には、某社から出向という立場で勤務しているのですが、ここの出張旅費規
程に宿泊を認めるのは200km以遠という定めがあり、それより近いところでの宿泊
には理由書を書いて許可をとらねばなりません。
「サカサクラゲ」というクラゲがおりまして、これには藻類が共生しています。日の当
たるときは藻類が光合成して作った同化産物を奪い取って生きているのですが、暗いと
きは静かにしています。したがって、このクラゲの生理状態は時刻に応じてずいぶんと
変わる筈です。
で、この「サカサクラゲの夜間観察があるので、200km以内だけれど宿泊をします。」
という出張申請をしたところ、某部署の某氏から、「浅子さん、こんなふざけたことが
通ると思っているのか?。」という訳の分からぬ電話。
「君はどこから出向になってるのか。」
「某社です。」
「某社ではこんなふざけた理由で認めるのか?」
「別にふざけていませんが、多分通ると思いますが・・・。」
「某社はともかく、ここではこんなふざけた理由は認めないぞ。」
「いったいどこが問題なんですか?」
「君はサカサクラゲの観察なんて事で宿泊できると思っているのか?」
「サカサクラゲというのは、特殊なクラゲで、藻類が共生していて、それによく光があ
たるように、サカサになって生活している特殊なクラゲなんですが。」
「逆さになってることぐらいワシでも知ってる。藻類が共生している?すると君は温泉
で、サカサクラゲを相手にワカメ酒でも楽しむのか?」
「このクラゲは温泉には生育していませんが、好熱性の藻類を探しに温泉に行くことは
あります。それから、ワカメは大型の藻類で共生はしていません。サカサクラゲに共生
しているのは、渦鞭毛藻という単細胞性の藻類です。」
「電話では話にならんからちょっと来い。」
ということで、直接その人の部署に出かけてゆきました。
いきなり、「君は、こういうことで、のらりくらりやってていいと思うのか?」
「別にのらくらやってるつもりはなく、早く研究成果を出すべくやっていますが。」
てな調子で10分ほど話していると、ある瞬間その人が
「浅子さん、サカサクラゲという名前のクラゲが本当にいるのか?」
「だから、そのサカサクラゲの話をしてるんじゃないですか。」
「違う違う。本当にサカサクラゲという名前の生き物がおるのか?」
「何の話だと思ってるんですか?」
「君は、逆さ水母って何か知らないのか?」
「だからその説明を延々としてるじゃないですか。」
「いや生き物の話じゃなくて、普通逆さ水母というのは何のことか、君、知らんのか?」
「サカサクラゲといったら、共生藻がおって逆さになってるクラゲ以外に何があるんで
すか?」
というとんちんかんな会話の後、二人で大笑いしました。
賢明な読者諸氏は御存知と思いますが、逆さ水母というのは、温泉のマークがクラゲを
逆さにしたように見えるところから、温泉、しかも不純異性交遊に近いようなことをす
るような温泉のことを指す、ということを私は40才になって初めて知り、また、某氏
は本当にサカサクラゲという生き物がいるということを50才近くになって初めて知っ
た、というおそまつな話でした。
それ以来、生き物の名前には多少気をつけるようにしていますが、今回の出張でもパラ
オのジェリーフィッシュレーク(和訳するとクラゲ湖?)のタコクラゲの生存状況の確
認、という普通の人からすると大いに怪しい業務内容が含まれているだけに心配しまし
たが、今回はOKでした。
これがサカサクラゲです。これで正しい向きです。だからサカサクラゲ
これはタコクラゲだそうで
浅子君からのおまけ
:共生藻を持つウミウシ:ムカデミノウミウシPteraeolidiaianthina
:葉緑体を持つウミウシ:ゴクラクミドリガイの一種 Elysiasp.
:共生藻を持たないウミウシ:シラナミウミウシChromodoris coi
:ヒラムシ(東京湾産で共生藻は持っていません):ウスヒラムシNotoplana humilis
浅子君からのさらにおまけ 交配作業とは
交配作業
ふくろかけ
浅子宅庭先で、交配中のダイコン
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