学術出版の技術変遷論考 -活版からDTPまで-

中西秀彦 著 2011年12月28日 印刷学会出版部刊 

A5上製 452ページ

ISBN978-4-87085-205-1 6800円+税

本人コメント 

『活字が消えた日』以来、私の最大のテーマであり続ける印刷の電子化について、徹底的に実証研究を行いました。学術論文のかたちで書いていますので、今までの著作に比べて、すこし読みにくいかもしれませんが、電子化とその意味について、私の現在の能力の限界まで追求、考察しました。

目次

序章 本書の目的と構成 11


0.1 本書の目的 11
0.2 先行研究 13
0.3 本書の構成 15

第1章 学術印刷の変遷 19

1.1戦後出版印刷技術史概論 21
1.1.1 活版印刷の動向  21
1.1.2 謄写印刷・タイプ印刷の動向 24
1.1.3 手動写植の動向 24
1.1.4 電算写植の動向 25
1.1.5 DTPの動向 26
1.1.6 印刷技術の情勢 27
1.2文字コード問題の所在 29
1.2.1 文字の選択 29
1.2.2 機械的字種制約 30
1.2.3 文字コード 31
1.2.4 漢字コード 32
1.3 京都の中西印刷の歴史と背景 34
1.3.1 中西印刷の歴史 34
1.3.2 学術印刷分野への進出 36
1.4 学術出版印刷の特殊性 38
1.4.1 学術出版印刷とは何か 38
1.4.2学術出版印刷における文字の多様性 40
1.4.3 学術出版印刷の組版表現 42
1.4.4学術出版印刷の写真表現 43
1.4.5校正期間と訂正 45

第2章 活版と写植の時代 51

2.1活版と写植の展開 53
2.1.1 活版と写植 53
2.1.2活版の工程 53
2.1.2.1文撰 54
2.1.2.2鋳造 56
2.1.2.3植字 56
2.1.2.4機械印刷 57
2.1.3活版工程の合理化 58
2.1.4モノタイプ 59
2.1.4.1 モノタイプ史 59
2.1.4.2 日本語モノタイプの機構 61
2.1.4.3モノタイプの利点と限界 64
2.1.5 手動写植の展開 65
2.1.5.1 手動写植の誕生 65
2.1.5.2手動写植の普及 66
2.1.5.3 版下切り貼り職人 67
2.1.5.4 写植の訂正 68
2.2文字コードの誕生 69
2.2.1漢字コードの成立とモノタイプ 69
2.2.2 モノタイプの文字配列 70
2.2.2.1中西印刷配列 71
2.2.2.2三省印刷配列 74
2.2.3 KMT文字コード 76
2.3活版の栄枯盛衰 ケーススタディ中西印刷 77
2.3.1活版印刷1985 77
2.3.1.1 活版印刷比率 77
2.3.1.2 所有活字と組版 79
2.3.1.3 活版人員構成 84
2.3.1.4所有機械装置 85
2.3.1.5会社の機械配置図(屋内見取り図) 87
2.3.2 モノタイプと電算活版 90
2.3.2.1 モノタイプ 90
2.3.2.2電算活版 91
2.3.2.3電算活版の受容 93
2.3.2.4電算活版の限界 95
2.3.3 活版の衰退 96
2.3.3.1 銅板供給中止とその影響 97
2.3.3.2 活版縮小 97
2.3.3.3亜鉛罫の製造中止とその影響 99
2.3.3.4活版からの撤退宣言 100
2.3.4活版廃止宣言の社会的反響 101
2.3.4.1 新聞での反響 102
2.3.4.2テレビ放送 106
2.3.5活版最後の日々 108
2.3.5.1 活版組版の終了 108
2.3.5.2 NHK全国放送「活版が消える日」 109
2.4 活版による学術出版印刷 116
2.4.1 活版による学術組版の特性 116
2.4.2 『西夏文華嚴經』 117
2.4.3 『ビルマ語辞典』 121
2.4.4『篠田統文庫目録』
コンピュータデータベースの活版出力 121

第3章 電算写植の時代 1 131

3.1日本の電子組版の勃興 133
3.1.1 1985年の出版印刷状況 133
3.1.2 2つのCTS 134
3.1.3 電算写植機 135
3.1.4 電子組版機 137
3.1.5 COMPOTEX 139
3.2電算写植時代の文字コード 141
3.2.1印刷組版の電子化と文字コード 141
3.2.2 JIS漢字コードの問題 142
3.2.3 JIS78 JIS83問題 143
3.2.4 電算写植コード 145
3.2.4.1 SKコード 146
3.2.4.2 MORコード 151
3.2.4.3 PMTコード 155
3.2.5 電算写植の文字コード 157
3.3 中西印刷における電算写植の導入 158
3.3.1 1986年の情勢 158
3.3.1.1電子組版機器の検討 158
3.3.1.2 電算写植の導入経緯 159
3.3.1.3 中西印刷へ導入されたCOMPOTEX 161
3.3.1.4 導入の準備 165
3.3.1.5 人員構成 166
3.3.1.6 導入の日 167
3.3.1.7 欧文学術出版印刷のCOMPOTEX移行 168
3.3.1.8レイアウトデータの視認をめぐって 170
3.3.1.9部屋の配置 1986 171
3.3.2 1987年の情勢 173
3.3.2.1 PCP電子化第一号  173
3.3.2.2設備の増強 177
3.3.2.3 NACOS概念の誕生 179
3.3.2.4電子組版と活版組版の違い 181
3.3.2.5 誤植復活 184
3.3.2.6営業サイドの困惑 185
3.3.2.7ハイフネーション問題 186
3.3.2.8人事異動に見る電子化転換 1987 189
3.3.2.9 生産ページ数からみた電子化転換 190
3.3.2.10作業進捗状況表 1987 192
3.3.3 1988年の情勢 193
3.3.3.1データベース出力 193
3.3.3.2和文組版と漢字 195
3.3.3.3和文組版の実態 197
3.3.3.4レイアウトデータの蓄積 197
3.3.3.5人事異動に見る電子化転換1988 198
3.3.3.6作業進捗状況表 1988 199
3.3.3.7部屋の配置 1988 199
3.4 文字コード変換による学術出版 202
3.4.1 データ入稿の利点 202
3.4.2フロッピー入稿の進展と障害 204
3.4.3初期データ入稿 205
3.4.4 PCPのフロッピー入稿 208
3.4.5 フロッピー入稿の実施状況 213
3.4.6「フロッピー入稿をされる方へ」 215
3.4.7制御記号付きフロッピー入稿 219

第4章 電算写植の時代 2 229

4.1電算写植システムのその後の展開 231
4.1.1 電子組版機のワークステーション利用 231
4.1.2 COMPOTEX3000 233
4.2 文字コードと個別外字 235
4.2.1文字コード問題のその後 235
4.2.2 個別印刷会社ごとの個別外字の蓄積 236
4.2.3 ロゴスタジオ 238
4.2.4人名異体字問題の解消 240
4.3 中西印刷における電算写植の受容 241
4.3.1 COMPOTEX3000の導入とその影響 241
4.3.2 1989年の情勢 244
4.3.2.1 1989年の設備投資 244
4.3.2.2人事異動に見る電子化転換1989 245
4.3.2.3 作業進捗状況表 1989 246
4.3.3 1990年の情勢 247
4.3.3.1ロゴスタジオの導入 247
4.3.3.2人事異動に見る電子化転換1990 248
4.3.3.3作業進捗状況表 1990 249
4.3.3.4部屋の配置 1990 250
4.3.4 1991年の情勢 252
4.3.4.1人事異動に見る電子化転換1991 252
4.3.4.2作業進捗状況表 1991 254
4.3.5 1992年の情勢 254
4.3.5.1人事異動に見る電子化転換1992 254
4.3.5.2作業進捗状況表 1992 255
4.3.5.3部屋の配置 1992 256
4.3.6独自外字辞書の作成 258
4.4 外字変換による学術出版 262
4.4.1 電子化の完成 人文研 『東方學報』 262
4.4.2 ヘブライ文字フォントの作成 266
4.4.3失われた文字の作成 西夏文字、契丹小字 272
4.4.4外字変換 274
4.4.5魚鳥変換 278
4.4.6『阿毘達磨倶舎論実義疏の研究』 282
4.4.7 「各種ワープロ・データを
当社の電算写植にとり込むにあたって」 289

第5章 DTPの時代  299

5.1 DTPの衝撃 301
5.1.1 DTPの定義 301
5.1.2 初期日本語DTP 304
5.1.3 出版社でのDTP利用 306
5.1.4 TeX 307
5.1.5 印刷業界のDTPへの対応 308
5.2 DTPと 文字セット 310
5.2.1 DTPでの使用字種の拡大 310
5.2.2文字コードの統一 311
5.2.3 包摂問題 312
5.2.4 UNICODEへの収斂 314
5.3学術出版印刷へのDTPの利用 316
5.3.1中西印刷にとってのDTP   316
5.3.2 DTPによる顧客との共同作業 318
5.4 DTP共同作業による学術出版 319
5.4.1 DTPによるアラビア文字表記
『バーブル・ナーマの研究』 319
5.4.2 TeX組版 『Black Hole Accretion Disks』 326

第6章 学術出版技術変遷論考 339

6.1研究の最終段階としての印刷 341
6.1.1 印刷電子化における電算写植の位置づけ 341
6.1.2 印刷電子化におけるDTPの位置づけ 342
6.1.3 学術出版の共同作業としての印刷 344
6.2電子化と文字コード 346
6.2.1コードの共通化 346
6.2.2 汎用統一コードとその影響 348
6.3 ケーススタディとしての中西印刷の電子化 350
6.3.1 学術出版印刷の手段 350
6.3.2 従業員の転職 351
6.3.3 男女構成比率に見る職場環境の変化 352
6.3.4 コンピュータ設備状況に見る業務転換 353
6.4 電子書籍時代の印刷会社の役割 358
6.4.1その後のデータ入稿 358
6.4.2 学術出版印刷の価値 360
6.4.3電子書籍時代の印刷会社 362

終章 学術出版印刷の新地平 364

7.1 学術情報流通の電子化 364
7.2 構造化組版 365
7.3 著者と印刷会社の相互関係 368
7.4出版社と印刷会社の機能 369
7.5 今後の研究課題 371

付表 375
付録 385
付録について 385
付録1.1987/11/14 植物生理学会通信第41号 387
付録2.鹿田邦夫氏インタビュー記録 391
付録3.森澤彰彦氏インタビュー記録 411

あとがき  435
索引 439