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社長挨拶


第7代社長 中西隆太郎

 中西印刷は非常に古い歴史をもった会社です。江戸時代末期の木版時代から営業を続けております会社は京都は言うに及ばず、全国的にも非常に珍しいと思います。もちろん中西印刷はただ古いだけで続いて来たのではありません。企業は環境の変化に常にさらされており、創業者の遺訓を墨守するだけでは継続できるものではありません。当社は慶応・明治・大正・昭和・平成とそれぞれの時代にあわせて変革をなしとげてきました。明治の初め木版から当時の最先端技術であった金属活版技術を導入したのもそのあらわれでしょう。活版の時代は100年間続きますが、その間もたゆまぬ改善の努力が行われていたことが、当社に残された活版時代の遺物からたどることができます。電算写植を導入したのは1986年でしたが、その活版から電算への転身は「京都の奇跡」とまで言われましたが、それもそうした普段の改善の伝統にたってのことでした。
 電算写植導入以後、印刷技術は発展の加速度を増します。電算写植時代は組み版だけがコンピュータ化されていましたが、今や手作業による工程はほぼ姿を消し、印刷そのもの以外全工程をコンピュータで作業するようになっています。当社ではコンピュータ時代の印刷の可能性に早くから着目、高度変換印字システムNACOSを開発するなど、コンピュータ印刷でも最先端を走ってきました。1998年電子写真方式によるオンデマンド印刷を導入し、木版・活版・平版に続く第4の印刷方式を実用化しています。全国に数多くの印刷会社がありますが、この4方式とも経験した会社は当社だけでしょう。1999年には紙のない印刷・オンラインジャーナルに本格参入し、現在、日本のオンラインジャーナル市場では他社の追随を許さない実績をあげています。
 そうした革新の伝統のもと、当社には変わらぬ信念があります。社是としている「印刷を通じた文化学術への貢献」です。前一千年紀(1001-2000)最大の発明はなにかというアンケートでは蒸気機関や飛行機の発明をさしおいて、グーテンベルグによる印刷術の発明が第一にあげられたと聞きます。印刷は知識の蓄積と流布、次世代への継承を可能とし、文化学術の発展に寄与してきました。蒸気機関も飛行機も印刷術なくしては発明されることはなかったのです。当社は文化と学術への貢献をこそ存在理由としています。
 数々の先進的な取り組みも文化学術への貢献のために存在しています。文化学術への発展が紙ばかりではなくインターネットにあることをいち早く感じとったからこそ、オンラインジャーナルへの進出を決めたのです。我々は代々お客様の視点を大事にしてきました。お客様に必要だから技術を導入し、磨くのです。印刷会社が印刷技術向上をめざすのは当然ですが、必要であれば印刷の枠も超えていきます。30年来お世話を続けている学会事務事業もそのひとつです。文化学術への貢献に先生方が一番お困りなのは何か、それを考えたとき学会事務代行事業はすぐに実現していました。学会事務を代行することで、すこしでも先生方のご負担を減らし、文化学術貢献の一助としたいと願うからです。最近では査読編集業務・出版業務とその枠を拡げています。
 それでも当社は未来も印刷会社であることにこだわり続けます。文化学術への貢献のために情報を整理し、維持し、配布する、ということの基本は守り、育て続けます。それが当社の存在理由であり、今までの技術や知識の蓄積もすべてはそこに収斂しているからなのです。高速・大量印刷という領域ではあるいは他社に負けるかもしれませんが、文化学術への貢献の社是のもと培われた高品質・高信頼性という領域はわれわれの力の源であるのです。
 当社はまだまだ発展を続けます。文化学術に終わりのない限り、当社の発展にも終わりがないのです。

何の変哲もない火鉢

実は木版を貼り合わせてできています。中西印刷は今から140年前の慶応元年(1865年)、木版印刷業者として京都の地に産声をあげました。この火鉢はそのころのものです。以来、技術革新の激しい印刷業界にあって一歩先をみつめ、歩んで参りました。