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ホーム > EigenFactorTM(アイゲンファクター)とは EigenFactorTM(アイゲンファクター)とは初版 09/03/02
日本の雑誌のEigenFactor数値からEigenFactorは2009年1月からあのImpactFactorを出し学界に影響を与え続けるThomsonReuterが採用したことで俄然脚光を浴びています。ImpactFactorとどう違うのか、どういう計算方法で算出されているか知りたいところですが、その数式はImpactFactorにくらべて遙かに難しく、線形代数や統計学といった大学理系の数学知識が必要です。こちらのページにその数式と意味が載っています。 EigenFactorはImpactFactorとくらべ、どのような影響が予想されるのでしょうか。Journal Citation Reportから具体的な数字を引用してみましょう。まず、日本の理系学術雑誌ImpactFactor上位5誌のEigenFactorとその順位を比べてみます。
Journal Citation Reports 2007から引用 劇的な変化があることがわかります。最上位だった、JPPCが一気に58位になってしまっています。2位のPCPはそれほど変わりませんが、5位のJATにいたっては、算出すらされていません。これはImpactFactorの対象期間が2年なのに対して、EigenFactorは5年となっているからです。逆にEigenFactor上位5誌をみてみましょう。
Journal Citation Reports 2007から引用 こちらも劇的です。今までのImpactFactorとはまったくとはいいませんが、かなり変化があります。 さてここで、ImpactFactor上位である雑誌とEigenFactor上位である雑誌を比較してみますと、EigenFactor上位雑誌は、いわゆる有名誌が多いことがわかります。それに比してImpactFactor上位という雑誌には有名な雑誌も含まれていますが、あまり馴染みのない雑誌も含まれています。創刊まもないといった雑誌もあります。 EigenFactor上位でImpactFactor下位という雑誌の典型はEigenFactor 1位応用物理学会のJJAP(Japanese Journal of Applied Physics)でしょう。JJAPは日本でも有数の権威ある雑誌で今までImpactFactor下位であったのが不思議なくらいでした。その他ImpactFactorと比較してEigenFactorでは、有名な雑誌が各分野、偏りなく選ばれており、非常に「実感」に近いものとなっています。 ImpactFactorの克服なぜこういうことがおこるのか。それはEigenFactorがImpactFactorの欠点を充分検討して作られたからだと思われます。CITES(引用数)の数を見てみましょう。ImpactFactorは単純にいえば、引用された数÷発表論文数です。引用された数がすくなくても、発表論文数がそもそもすくなければ、ImpactFactorの数字は大きくなるのです。分数ですから分母が小さいという効果は大きく、ImpactFactorの上位には論文数のすくない雑誌がのりやすいのです。このことがImpactFactorの値がいわゆる「実感」とかけはなれているということの原因でもあります。逆にEigenFactorはCITESの大きい、従って論文数の多い雑誌に高めにでるという傾向があります。日本のEigenFactor上位5誌の順番ははからずもCITESの多い順になっています。 その意味で、Plant and Cell PhysiologyがImpactFactorでもEigenFactorでも上位にあるというのは注目に値します。この雑誌の印刷を、当中西印刷でお引き受けしていることをとてもうれしく思います。 世界のEigenFactorでは全世界のEigenFactor上位はどうでしょうか。 ImpactFactor上位5誌 ―は順位がはるかに下
Journal Citation Reports 2007から引用 EigenFactor上位5誌
Journal Citation Reports 2007から引用 なんともすさまじいことになってしまいました。ImpactFactorとEigenFactor両方上位に顔をだすのは、あのNatureとScienceのみです。ほとんど完全にいれかわりです。ImpactFactor上位に多かった"REV”とつくReview誌はEigenFactorではのきなみ下位に落ちています。 Review誌の凋落ある分野を勉強するとき、まずは原著論文よりその分野を概観したReviewを参照するのは研究者として当然ですから、Review誌は引用が多くなります。その割にReviewという性質上、原著論文より論文数が少ないですので、当然ImpactFactorはあがります。これはImpactFactor批判の際にかならず言われてきたことですし、単純にImpactFactorをあげるテクニックとしてReviewを増やすというのはよく行われてきました。EigenFactorではこの点もかなり是正されているといっていいでしょう。 最終的に、ImpactFactorのもっていた3大欠点。1.論文数の少ない小規模の雑誌が高く出やすい。2.Review誌が高く出やすい。3.分野によって偏りが出る。がほぼ解消されたことになります。EigenFactorの1位NATURE 2位アメリカ科学アカデミー紀要 3位SCIENCEというのは誰もが「実感」とあうのではないでしょうか。 なお、中西印刷ではお問い合わせいただいても、個別のEigenFactorやImpactFactorをお教えすることはできません。ご不明な点などはトムソンロイター EigenFactorの原理ここまで「実感」と合致するEigenFactorの原理は一体どうなっているのでしょうか。非常に難しいのですが、学術印刷一筋、中西印刷の総力をあげてあえて解説してみましょう。 EigenFactorとImpactFactorの違い、一言で言えば、個々の引用の重み付けを採用しているか否かです。それこそNatureやCellからの引用も、専門の人しか知らないローカルジャーナルからの引用も、ImpactFactorの場合は引用は引用です。しかしこれは明らかに不合理なわけで、引用それぞれに重みがあってしかるべきです。だからといってこの重み付けを人間の恣意に行っていたのでは指標としての公正が担保できません。ここはあくまでも客観的技法によるべきです。 EigenFactorの値はある雑誌に研究者がどれだけ時間を費やしたかの推定値と考えられます。研究者は引用文献からある文献に興味を持ち、その文献の載っている雑誌をさがします。当然ながら、被引用が多い雑誌はこの引用文献リストからさがしだされ易いということになります。被引用があって雑誌にたどりつく人が多い=その雑誌に費やされる時間が長いわけです。結局これは「被引用の多い雑誌は重要度が高い」ことになります。ここまではImpactFactorでも使われていた考え方でした。ですが、これだけではImpactFactorをあげるために無理矢理引用を続けるという行為でも重要度があがってしまいます。ここでEigenFactorでは新しい考え方「引用する雑誌が少ない方が重要度が高い」を持ち込みます。 ある雑誌Aが10回別の雑誌Xを引用し、ある雑誌Bは100回Xを引用したとします。Xの重要度が本当は同一だとすると、Aの引用はBの引用の10倍価値があることになります。そうです。これが引用による雑誌の重み付けなのです。実感としても、めったやたらにそこら中の文献を引用してそれ自身は引用されない文献より、自身はほとんど他の文献を引用しないのに多く引用される文献の方が重要度が高いことは納得できるでしょう。
という原理からEigenFactorはなりたっています。 いずれにしても、小手先のテクニックの効きにくい、かなりシビアな指標です。 この実際の重み付けのやり方はGoogleのページランクに似た方法が使われます。引用と被引用の関係を行列で表現し、反復的な引用関係をEigen vector centrality(固有ベクトル中心性)の方法で解き明かすのです。もちろんEigenFactorはではさらに修正がほどこされています。詳しいことはこちらの数学ページへおこしください。 Article Influence ScoreについてArticle Influence ScoreはEigenFactorを論文数の比(全対象雑誌掲載論文に占めるその雑誌の掲載論文の数)で除したものです。EigenFactorが上記の原理からなりたっているため、CITESの多い、つまり、掲載数も多い雑誌が高く出ることを補正する値となります。これは論文数の比がまた分母にきますので、掲載数の少ない雑誌が高く出やすい。したがってImpactFactorと相関が高くなることが指摘されています。どの指標が正しいかというものではありませんが、今後さまざまな影響があらわれることと思います。 参考資料 |