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会長挨拶

平成17年8月

21世紀の環境資源工学会への期待と会長就任の挨拶

環境資源工学会 会長 藤田豊久

 21世紀への「環境資源工学会」として前会長の森 祐行先生からバトンを引き継ぎ、会長としてお世話をさせて頂くことになりました。よろしくお願い致します。

 日本人の平均寿命は2004年に男78.6歳、女85.6歳となり、米国の民間研究所によると日本人の平均寿命は2050年には90歳を超えるという予測もあるほどで、寿命からみると将来はよりよい生活が待っていると思えそうです。しかし、実は21世紀が始まって今後100年で人類の住む地球にとって重要な危機が待ち受けているようです。すなわち、地球規模での気候変動、資源の有限性から工業生産の減少、環境汚染の増大等に直面しています。気体の汚染として空気中の二酸化炭素の増加は温暖化をはじめとする環境変動をもたらし、水の汚染は世界的規模の飲料水の不足を生じさせ、土壌の汚染は食糧の土地からの収穫率減少を引き起こします。今後、工業成長の目標をサービス供給に変換し、効果的リサイクル技術により資源を循環利用し、再生不可能なエネルギー資源を効率的に利用し、環境への吸収能力を上回らない大気、水、土壌の汚染除去技術を開発しなければ持続可能な社会実現の可能性は困難となりそうです。

 環境資源工学会は総合的な環境資源問題の解決のために、資源リサイクル、環境浄化、エネルギー有効利用を皆で考えていく学会です。ぜひ多様な観点から学会に参加して、持続可能な社会の実現のために各種討論し、新しい方向への発展を発信して頂けましたらと思います。

 ここで本学会の歴史を紹介します。技術的側面からの本学会の基本となる技術は、選別・分離・精製を中核に据えた技術です。本技術の歴史は極めて古く、1556年に出版されたアグリコラの百科事典「デ・レ・メタリカ(金属について)」に選鉱技術が記載されています。本学会は資源・エネルギーを取り扱う学術団体として60年を越える歴史をもち、日本学術会議の一員です。学会の始まりは、現在でも地球資源を分離精製する主要技術である浮遊選鉱を取り扱った、「浮選剤研究会」、「浮選研究会」であり、その後、選別技術の汎用性から「資源処理技術研究会」、「資源処理学会」へと発展し、2003年6月5日の環境基本法が制定されました「環境の日」に「環境資源工学会」へと本会は時代の要求に合わせて名称変更しました。今まで、資源・粉体等の生産に関係する課題を中心に学会運営を行うと共に、「生産・製造の現場を中心とする活動」を基本としてきました。資源リサイクル、環境浄化、エネルギー有効利用の環をつくるために長い歴史のある固体(物理)選別を出発点とする分離選別技術の新しい開発と普及は他の学会に少ない重要な課題です。本学会では産官学の中で産業界の会員の方が過半数を占めていることが特徴で、実用化への直結が期待され、社会的要請に応える資質と能力を備えています。

 世界の資源、リサイクル関係の国際会議に本会員は参加して発言し、国内のシンポジウムにてリサイクリング方法を発信しています。歴史ある国際選鉱会議では元会長の若松先生を中心に資源精製、資源リサイクルを討論し、近年は、資源に関する持続可能な社会実現の課題が積極的に取り上げられています。さらに、近年の土壌汚染の深刻な問題から、本会は土壌浄化に関するシンポジウムに積極的に開催し、地球の土壌修復方法を様々な方法から議論しています。一方、2005年の8月において原油価格は1バーレルあたり$66を超え、最高値を更新しています。しかし、円高、日本のエネルギー効率の改善のために過去のようなオイルショックにはなりません。日本の省エネ技術は世界が求める価値あるものになっています。環境資源工学会のさらなる目的の一つは分離・精製技術を用いて省エネルギー技術にも貢献することです。

 本学会は年2回の例会と年2回のシンポジウムを開催し、「環境資源工学(Resources Processing)」として会誌を年4回発行し会誌はJ-stageにも登録されています。今後、学会の運営では両副会長、役員、評議員、事務局と協力して運営にあたりますので、会員の皆様のご協力をよろしくお願いします。会員の皆様が本会の集会や会誌を通じて持続可能な社会の実現に貢献して頂けますようお願いしまして挨拶と致します。

(ふじた とよひさ、東京大学大学院工学系研究科 教授)


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